Question 1

TCFDとは？

Accepted Answer

TCFDは、「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略称で、日本語では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と訳され、2015年に金融安定理事会（Financial Stability Board：FSB）が、G20から要請を受けて設立した国際的な組織のことです。

TCFDの目的は、企業が行っている気候変動への対策やリスクに関する取り組みについて、積極的な情報の開示を促すことです。2017年6月には、最終報告書としてTCFD提言を公表しました。この提言では、気候変動に関連するリスクや機会、さらに財務面での影響について詳しく触れています。

Question 2

TCFDが重要視される背景は？

Accepted Answer

気候変動によるリスクが増えている

以前から指摘されていた気候変動によるリスクは、近年の地球温暖化の進行によってさらに深刻化しています。2015年には「パリ協定」が締結され、世界的に温室効果ガスの削減が求められるようになりました。

一方で、気候変動による災害の規模が拡大し、企業が受ける経済的損失や被害も年々増加している現状があります。企業では、このようなリスクの増加に今後も取り組んでいく必要が生じています。

ESG投資が拡大している

環境問題が深刻化するなかで拡大しつつあるのが、ESG投資と呼ばれる投資の形です。ESGとは、Environment、Social、Governanceの頭文字をとったもので、環境問題、社会問題、および企業統治への取り組みを指しています。ESG投資は、これらESG課題に取り組む企業への投資です。

自社の利益だけではなく、環境や社会、持続可能性に配慮することで企業の評価が高まり、投資先として選ばれる傾向にあります。ESG面で優れた企業は、社会的な要望に応じることができるため、企業としての成長見込みも大きく、投資分は充分に回収できると判断されやすくなります。

Question 3

TCFDで開示が推奨される4つの項目は？

Accepted Answer

1）ガバナンス（Governance）

企業においてガバナンスとは、企業の統治、管理という意味があります。TCFDにおけるガバナンスとは、気候変動に対応するための企業の管理体制に関する項目のことです。

ガバナンスの開示内容には、企業が自社の気候関連の課題に取り組むにあたって、取り組みを管理・監視する委員会の設置有無、管理体制の詳細などがあります。取り組み内容の管理については、経営陣がどのような役割を果たしているかなどを盛り込むのが適切です。

2）戦略（Strategy）

戦略とは、気候変動が自社の事業や経営内容、あるいは財務計画にどのような影響をもたらすのか、またその影響への対応策を示します。例えば、自社にとって「気候変動のリスクや機会」とは具体的に何を示しているのか、短期的また中長期的にそれぞれ示す必要があります。

さらに、リスクや機会が自社のビジネスにもたらす影響についても、具体的に明示することが大切です。将来的な気候や気温を考慮しつつ、自社としてどのような対策をとっていくかということも、あわせて説明する必要があります。

3）リスクマネジメント（Risk Management）

リスクマネジメントとは、気候関連のリスクに対して自社がどのような認識をし、どんなリスク管理を行っているのかということです。具体的に予想されるリスクについて、自社としての認識を示すだけではなく、そのような考えに至ったプロセスも説明する必要があります。

さらに、認識したリスクを管理する方法や、気候変動リスクの管理体制について明示することも、リスクマネジメントの一環です。

4）指標と目標（Metrics and Targets）

指標と目標は、自社が気候関連の戦略立案やリスク管理を行うにあたり、用いる指標および目標のことです。戦略立案とリスクマネジメントのどちらも、まずは気候変動のリスクと機会について評価しなければ対策が立てられません。

どのような指標のもとに評価が行われたのか、何を目標に対策を立てていくのかを明示するのがこの項目です。評価の指標とともに、目標に対して現在までに自社がどの程度の実績をあげているかを明示すると良いでしょう。

Question 4

TCFDへ賛同する方法

Accepted Answer

日本では、非金融の企業・機関の1,003社、金融企業の228社が、TCFDに賛同しています（2023年6月26日時点）。金融および非金融に該当しない企業を含めれば、日本の賛同機関数はTCFDの枠組みに賛同している国のなかでトップです。

TCFDは、そもそも金融機関向けの取り組みとして始まったため、諸外国では金融機関の賛同数が非金融機関を上回る傾向も見られますが、日本では金融機関よりも非金融機関の方が多くなっています。企業規模も幅広く、日本全体として気候関連リスクに対する関心が高いといえるでしょう。

TCFDとは？開示推奨項目や賛同方法をわかりやすく解説

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