Question 1

世界や日本が抱えるSDGsの問題点は？

Accepted Answer

■テーマが壮大すぎて実感が伴わない

SDGsには全部で17の目標がありますが、「すべて」や「ゼロ」といった目標を掲げているものも多いことが実情です。実現が望まれる目標ではありますが、あまり現実的な内容ではないため達成が難しいと考えられています。特に、次の6つの目標は理想だけで終わってしまうのではないかと危惧されています。

・目標1：飢餓をゼロに

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し持続可能な農業を促進する

・目標3：すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し福祉を推進する

・目標4：質の高い教育をみんなに

すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し生涯学習の機会を促進する

・目標6：安全な水とトイレを世界中に

すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

すべての人々に手ごろで信頼でき持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

・目標16：平和と公正をすべての人に

持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進しすべての人に司法へのアクセスを提供するとともにあらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

この6つの項目は目標としては理想的ですが、実現不可能な目標を掲げることでイメージが湧かない、実現の道筋が思い浮かばないという人も少なくありません。また、SDGsが掲げる17の目標のみで社会問題のすべてを網羅できているのか、疑問視する声もあがっています。

■1人だけでは解決できない

SDGsは世界的な取り組みが必要な目標であり、個人で解決できるものではありません。優れた能力やより良いビジョンがあったとしても、1人で社会を良くすることはできません。SDGsに取り組む際には多くの人々の協力が必要不可欠です。

SDGsを成功させるためには、周囲の人々や環境を巻き込み、SDGsに取り組むためのコミュニティを作ることが求められます。SDGsの輪を広げて当事者意識を持ってもらうことが重要です。

■数値目標の妥当性

SDGsは17の目標があり、そのなかでも169のターゲットが設定されています。ターゲットのなかには、数値指標が具体的に決められている項目もありますが、この数値が妥当なのか疑いを持たれているのが現状です。

たとえば「目標1：貧困を無くそう」では、1日の生活費が1.25ドル未満という極度の貧困を終わらせるという数値指標がありますが、1.26ドルで暮らす人は支援対象から漏れてしまいます。

ターゲットに設定されている、数値指標の達成を課題解決とすることは本当に正しいのかどうか、しっかりとした検証が必要です。うわべの数字だけを重視するのではなく、現状や背景にもスポットを当てた取り組みが必要となります。

■ターゲットの定義が捉える人によって異なる

SDGsは、地域や文化、国民性などによって認識の齟齬が発生しやすいという問題点もあります。たとえば、「安全」という言葉1つとっても、その定義は地域により異なります。

また、開発途上国では情報格差により正しい情報が伝わりにくいことも問題です。情報や技術が不足することで、SDGsの目標達成のために何が必要なのか、適切な方策が見出せないケースも少なくありません。どのような結果になれば課題解決となるのかの定義も異なるため、密接に関わり、認識をすり合わせる必要があります。

■SDGsに取り組むのは有志のみ

SDGsの取り組みは世界的な目標ではありますが、取り組まなくても罰則はありません。そのため、有志のみが取り組んでいるという問題があります。SDGsについて理解している人や取り組みの重要性を感じている人しか、積極的に動かないという状況は大きな問題です。

また、取り組む必要性を感じていても余力がないという場合もあるでしょう。余裕がある人しか取り組めない、貧困や情報格差がある開発途上国の人々は、取り組むことが難しいという状況です。

SDGsでは先進国と開発途上国の格差を縮めるという課題もありますが、上述したように開発途上国の人々は十分に取り組めないという現状があります。そのため、現状では先進国がイニシアチブを握っており、上下関係ができたり格差がより広がったりという可能性も、危惧されています。

■ゴールが見えにくい

SDGsにはさまざまな目標とターゲットがあるため、なかには数値目標が設定できない項目もあります。明確な数値が定められない目標は、ゴールがイメージしにくい点が問題です。また、目標達成の定義が人や地域によって異なる場合、ゴール設定や取り組み方法も変わってくるため、よりゴールがイメージしにくくなるでしょう。

■SDGsの達成度合いが測定できない

SDGsは2015年に設定された目標で、世界各国で取り組みが行われています。しかし、SDGsの達成度合いを測るデータが不足しており、どの程度目標達成に近づいているのかを確認できないという問題点があります。特に、発展途上国ではデータ不足が深刻で、どのような課題があるのか、どのようなニーズがあるのかを把握できない状況です。

■SDGsに取り組むための資金が不足している

SDGsに取り組むためには、人材育成や施設の準備などまとまった資金が必要です。発展途上国では、SDGsに取り組むための資金を先進国からの援助に頼っていますが、援助は減少傾向にありSDGsに取り組むための資金が不足しています。また、国によっては援助された資金が、SDGsではなく別の用途で使用されているという問題もあります。

Question 2

企業が抱えるSDGsの問題点は？

Accepted Answer

・SDGsウォッシュになるケースがある

SDGsに取り組む企業は、社会貢献をしている良い企業という認識です。しかし、肩書きだけを目当てにSDGsを取り入れる企業も、少なからず存在します。実際に、SDGsを実践していない状態を「SDGsウォッシュ」と呼び、SDGsをめぐる問題点の1つとなっています。

・自社の事業でSDGsに取り組めない

SDGsウォッシュの原因の1つに、自社の事業には合わないSDGsの目標を設定することが挙げられます。自社の事業にはそぐわないSDGsの目標に取り組んだとしても、本業がおろそかになってしまったり、SDGsウォッシュになったりする可能性があるため、注意しましょう。

また、従業員がSDGsへの取り組みをコストや負担が増えるだけと考えていると、SDGsには取り組めません。SDGsを自社で取り入れるには、SDGsの必要性や重要性を社内に周知して理解を深め、全社を上げて取り組めるようにコミュニケーションを密にすることが重要です。

・事業内容と合わない

事業内容によっては、SDGsの目標に合わないケースもあります。事業内容との関連性が薄い、自社の事業と相性の悪い目標に取り組んだ場合、本業との相乗効果が狙えず形だけの取り組みになってしまう可能性もあるでしょう。また、効果的な活動が難しく目標達成に近づけない場合もあるため、自社事業との関連性や自社の強みを活かせる分野を探すことが重要です。

・従業員に負担が生じる可能性がある

自社の事業内容との関連性が薄い場合、SDGsへの取り組みを本業とは別に行う必要があり、従業員に負担がかかってしまう可能性が高いでしょう。また、人材不足で悩んでいる企業も多く、SDGsに取り組むための人材をどのように確保するかも大きな課題です。従業員の負担が大きくなると、モチベーションが低下し本業にも影響が出る恐れもあります。

・取り組み内容によってはコストがかかる

SDGsの取り組み内容によっては、新しくコストが発生する場合もあります。たとえば、環境に配慮した商品を開発する、新規事業に取り組む、職場環境を整備するなどの取り組みでは、ある程度の費用が必要です。SDGsへの取り組みを継続できなかった場合は、コストが無駄になってしまうため、継続できる取り組みを見つけることが大切です。

Question 3

SDGsの問題点の解決方法は？

Accepted Answer

・SDGsについての理解を深める

SDGsに取り組む際にはまず、SDGsの内容や背景をしっかりと理解することが重要です。言葉だけで中身が伴わない場合、SDGsウォッシュだと思われる可能性もあります。SDGsは社会的な課題ではありますが、事業内容によってできる取り組みは異なります。本業との相乗効果を発揮するものだと認識し、自社に合った取り組みを選びましょう。

・SDGsを議論する

SDGsの問題は個人で解決できるものではありません。そのため、企業として取り組む際には全社を上げて取り組むことが重要です。企業としてSDGsに取り組む際、目標に対する従業員の認識がすれ違わないようにするためにも、SDGsについて議論をして議事録や決定内容を従業員に周知徹底すると良いでしょう。

・達成できる目標を立てる

SDGsに取り組む際は、達成できる目標を掲げることも大切です。達成不可能な理想を掲げた場合、従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。

また、達成困難な目標を設定すると、具体的な成果を社外へ伝えられずSDGsへの取り組みを中止しなければいけなくなるケースもあるため注意が必要です。大きな目標だけでなく、目標達成のための小さな目標を複数設定することで、成果が出やすくなり従業員のモチベーション維持にもつながります。

・短期間で解決しようとしない

SDGsの取り組みは長期的な視点が重要です。SDGsへの取り組みはすぐに結果がついてくるものではないと認識しておきましょう。未来への投資、将来を見据えた社会貢献という意識を強く持ち、中長期的な視点を持つことが求められます。

SDGsに中長期的に取り組むためには、企業理念とSDGs目標が合っていることが重要です。企業理念や事業内容と関連が薄い目標は、継続的に取り組むことが難しいため、自社の理念や事業に合った目標を見つけましょう。

・自社の状況に合わせて取り組む

SDGsの目標を達成するためには、自社や個人の状況に合った取り組みが必要です。社会貢献や世界の基準に合わせることも大切ですが、まずは自社の状況を把握してより良い方向に向かわせることを意識しましょう。他社の取り組みを取り入れるのではなく、自社に合った取り組みや施策を見つけることが重要です。

・問題意識を持つ

世の中の流れや世界的に注目されているからSDGsに取り組むのではなく、自ら問題意識を持って取り組むことが重要です。世間的に注目されているからという理由で取り組んでしまうと、SDGsウォッシュに陥りやすくなります。言葉や形だけのSDGsにならないように、適切なビジネスプランを立てて課題解決に取り組みましょう。

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