新規事業開発

2023.11.16

ビジネスアイデアを生み出すための方法6選|実例も紹介!

ビジネスアイデア
他社と差別化したビジネスアイデアを考え出すことは、新規事業の立ち上げを成功させるためにも重要です。しかし優れたビジネスアイデアが思いつかないと、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスアイデアの必要性や生み出すための方法、成功のポイントについて解説します。BtoCやBtoBの各企業におけるビジネスアイデアの具体例も紹介するため、参考にしてください。
目次

ビジネスアイデアが必要な理由

ビジネスアイデアが必要な理由の1つとして、既存サービスとの差異化を図れることが上げられます。便利さや楽しさなどで他社の既存サービスと差別化できると、それがビジネスアイデアになります。
優れたビジネスアイデアで新規事業を立ち上げると、次のようなメリットが期待できます。
・ビジネスアイデアに魅力を感じる人が増えて、比較的容易に出資者を募れる
・ライバル企業との競争に巻き込まれずに済み、多くの顧客を獲得できる
・優れたビジネスアイデアは優秀な人材を引き付けるため、人材の確保にも有利に働く
以上のメリットにより、新規事業の成功率が高まるため、ビジネスアイデアは重要といえます。

ビジネスアイデアを思いつくための方法6選

ビジネスアイデアを思いつくためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、6つ解説します。

1. 既存事業を客観的に分析する

既存事業の長所や短所を客観的に分析することが大切です。とくに業績が伸びている事業を検討する際には、その事業の長所に目を向けて自社プロダクトの強みを把握すると良いでしょう。また、既存事業の短所を克服すると、それが異なる形で新たなビジネスの展開につながることがあります。
既存事業からビジネスアイデアを考えると、既存事業で培ってきた経験や知識を活用できます。ノウハウを蓄積しているため、ビジネスアイデアを新しく考えるよりも発見が容易です。既存事業を分析して、新たなビジネスチャンスにつなげましょう。

2. ライバル企業を分析する

自社で展開する既存事業の分析と同時に、ライバル企業の強みや弱みを調査することで、新たなビジネスアイデアのヒントが得られることもあります。たとえば、ライバル企業が持つ強みを自社の既存プロダクトに当てはめてみると、独自のビジネスアイデアを発見できる可能性があります。
また、競合企業が提供するプロダクトのメリットやデメリットが、画期的なビジネスアイデアのヒントになることもあります。市場での競合他社の動向を確認しながら、新しいビジネスチャンスを探求することが重要です。

3. トレンドをチェックする

トレンドとは、世の中の傾向や方向性のことを指します。トレンドを踏まえた他社プロダクトの分析は、新たなビジネスアイデアを見つけるうえで重要です。トレンドに関するテーマは、情報が集まりやすい傾向があります。そのため、ビジネスアイデアに結びつくヒントやデータの収集も比較的容易でしょう。
たとえば2020年以降、コロナ禍の影響でリモートワークがトレンドになりました。コロナ禍関連のテーマは多くのメディアで話題になったこともあり、情報の収集も比較的容易です。また、海外トレンドのチェックも参考になります。なぜなら、海外で流行しているものが遅れて日本に広まることもあるからです。
以上のように、トレンドを追うとタイムリーなビジネスアイデアを発見しやすくなり、拡大傾向の市場に早めに参入できるメリットがあります。

4. 成功したビジネスモデルを参考にする

成功したビジネスモデルを参考にすることもおすすめです。たとえば、過去に自社の事業で成功したものがあれば、そのビジネスモデルを他業種で展開できないか検討してみると良いでしょう。また、他社のビジネスモデルを新しい商品やサービスに応用すると、新しいビジネスアイデアを思いつくきっかけになることもあります。
たとえば、サブスクリプション(定額課金)モデルは、従来は新聞購読で利用されていたビジネスモデルです。それが現在では、さまざまなビジネスで応用されています。このように、既存のビジネスモデルを他の業種やサービスに転用することで、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。

5. 付加価値をつけられないか考える

従来は無価値として捨てられたものに、新しい価値を見出そうとするアプローチもビジネスアイデアを生み出す方法として有効です。たとえば、廃棄物として捨てられていたものが別の用途で利用価値のある材料になることがあります。
また事業者向けに販売していたものを一般個人向けに販売してみると、意外にも多くのニーズが判明したケースもあります。従来とは別の視点で新たな価値を見いだそうとすると、それが新しいビジネスチャンスにつながることもあるようです。

6. シーズ志向でビジネスアイデアを考えてみる

顧客ニーズを意識してもビジネスアイデアが思い浮かばない場合は、シーズ志向で考えてみましょう。シーズとは、企業サイドが考えた顧客に提供できる商品の価値や強みです。一方、ニーズは顧客が商品やサービスに対して求める潜在的な欲求です。
シーズ志向で考えられた画期的な商品を市場に投入すると、消費者自身が意識していない潜在ニーズが顕在化することがあります。そのため、シーズをうまく具体化できれば、革新的なプロダクトの誕生が期待できます。ニーズだけではなく、シーズにも目を向けることが重要です。

ビジネスアイデアを成功させるためのポイント10選

ビジネスアイデアを成功させるためのポイントはさまざまです。ここでは、とくに重要なポイントを10個解説するため、参考にしてください。

1. ブルーオーシャンでビジネス展開する

ブルーオーシャンとは、従来存在しなかったまったく新しいビジネス領域のことを指します。新しい領域であるため、他社と競合することなく事業を展開できる点が魅力です。これまで他社が開拓しなかった領域を目指すため、消費者には革新的なプロダクトと感じてもらえるようになります。
ブルーオーシャンで事業展開をするためには、シーズ志向でビジネスアイデアを考えることも大切です。競合から離れた新しい市場を独自に開拓して、ビジネスの成長や利益拡大を目指してはいかがでしょうか。

2. 捨てられるリソースに着目する

画期的なビジネスアイデアを発見したい場合、使われていないリソースに着目するのも1つの手段です。使われていないリソースを転用するビジネスアイデアとしてはじめに思いつくことは、不用品のリサイクル化ではないでしょうか。しかし、それ以外にも使われていない「機会」をリソースとして販売するビジネスアイデアも存在します。
たとえば現在は、時間帯によっては増加しがちな高級店の空席を、通常料金の5~8割引で提供するサービスが存在します。空席を赤字が出ない程度の価格で提供し、さらにドリンクなどで利益を得るビジネスモデルです。

3. 情報を集約する

散らばった情報を集約するようなサービスは、消費者向けでも企業向けでも便利です。たとえば、「価格.com」は、Amazonや楽天などのECサイトの情報を1つのプラットフォームに集約して、莫大な利益を生み出しました。各店舗の価格比較が容易なうえに、購入時の手間を省けるため、消費者に広く受け入れられて成功したビジネスアイデアといえるでしょう。
また、情報を一元管理できる企業向けツールも注目されています。たとえばHubSpotと呼ばれるクラウド型の顧客管理ツールは、マーケティングや営業、コンテンツ管理、カスタマーサービスの業務を一元管理できる特徴があります。営業活動に必要な情報を一元管理できると、企業も従業員は業務を効率化でき、情報の共有や連携もスムーズになる点がメリットです。

4. サービスを解体する

サービスを解体することをアンバンドリングと呼びます。アンバンドリングを実施すると、消費者は自分が欲しいものだけを入手でき、企業は需要のある部分だけに注力できます。その結果、企業側は顧客満足度を高めながら、コストも抑えられるメリットがあります。
たとえば、航空会社がサービスを簡素化して運賃の価格を抑えることは、アンバンドリングの1種といえるでしょう。これにより、顧客は必要なサービスだけを選べるようになり、企業は無駄なコストを削減できるため、双方にとってメリットがあります。

5. サービス同士を組み合わせる

異なるエリアで展開されていたサービスを組み合わせると、革新的なサービスが生まれることがあります。このようなビジネスアイデアはマッシュアップと呼ばれていて、とくにIT分野で活用されることの多い考え方です。
マッシュアップでは、複数のソースからなるさまざまな情報やコンテンツを組み合わせて、別の新しいコンテンツやサービスを作成します。具体例として「グーグル・マップ」が挙げられます。交通経路案内や目的地周辺の宿泊施設、飲食店などの情報が地図上に表示されることで、便利なサービスとして多くの人が利用しています。

6. 市場を変えて既存ビジネスを活かす

自社の既存ビジネスを異なるマーケットで活用すると、事業拡大に役立つビジネスアイデアの発見につながる可能性があります。既存ビジネスを転用するため、企業の運営方針から大きく外れることなく、失敗のリスクを減らせる点も魅力です。
既存ビジネスを他の成長市場で活かすためには、事業価値の見直しやマーケティング戦略の見直しが欠かせません。成長市場で新しく事業展開することで、さらなる成長を目指せます。

7. 既存ビジネスを改良する

既存ビジネスの改良を前提にビジネスアイデアを考えることも可能です。「誰に売るのか」「何を売るのか」「どうやって売るのか」といったビジネスの基本要素を見直し、既存ビジネスを改良すると良いでしょう。
既存顧客のニーズや課題を徹底的に分析し、理解することで新しい価値提案やサービスの改善が可能です。顧客とのコミュニケーションを重視し、彼らの意見やフィードバックを活用して、事業の方向性を見直しましょう。

8. 供給過多の市場からリソースを移す

リソースを供給過多から供給不足の市場へ移すことで利益を得る手法をアービトラージと呼びます。これは、価格差や需給バランスの違いを利用して、リソースの効率的な活用を目指すビジネスアイデアです。
たとえば、日本では高齢化が進んでおり、介護士不足が深刻化しています。一方で、東南アジアでは若い労働力が多く、職を求めている人が多い状況です。このような状況でアービトラージを活用すると、病院や介護施設が東南アジアの人材を採用して、互いに利益を得られる関係を築けます。
アービトラージは、物的リソースや金融商品に限らず、人的リソースなどさまざまな分野に適用できる考え方です。そのためアービトラージを応用してリソースの分配を最適化すると、新しいビジネスチャンスを見つけられることがあります。

9. ストック型ビジネスを検討する

ストック型ビジネスは、継続的な収益を生むビジネスアイデアで、顧客に定額や従量課金でサービスを提供します。継続的に収入を得られるため、企業の収益が安定しやすくなる点がメリットです。
一方でフロー型ビジネスは、商品やサービスを販売して得られる売上や収益が1度に限られます。この場合、継続的な収益を見込むことが難しく、企業にとっては売上や収益が不安定になりがちです。企業の収益を安定させたい場合は、ストック型ビジネスを前提にしたアイデアがおすすめです。

10. プロセスを効率化する

無駄な中間プロセスを省くと、業務の効率化を図れるだけではなく、イノベーティブなビジネスアイデアが生まれる可能性があります。業務プロセスをスムーズにして、時間とコストの削減をしたい企業からの需要が期待できるビジネスアイデアです。
たとえば、業務効率化を目指す企業が増えているなか、ハンコを廃止した電子契約サービスが誕生しました。ハンコを廃止すると、契約の締結や請求書の送付を電子化できる点が魅力です
ハンコという中間プロセスを省いて、効率化を図ることで電子契約サービスという新たなビジネスアイデアが生まれました。企業は常に業務プロセスを見直したいと考えています。そのため、中間プロセスを省くようなビジネスアイデアにも需要があると考えられます。

ビジネスアイデアを実現させるための注意点

ビジネスアイデアを実現させるためには、まずは実行に移すことや完璧なアイデアを目指さないことが大切です。ビジネスアイデアを実現させるための注意点について解説します。

まずは実行に移す

ビジネスアイデアは、実行に移すことが重要です。新しいアイデアを次々と思いつくだけで、ただ未実現のビジネスアイデアが増えるよりも、考えついたアイデアを実行に移す方が価値があります。
アイデアを考えるだけで実行に移さないと、新規事業の立ち上げが進まないケースもあるため注意しましょう。ビジネスアイデアを実行に移すためには、構想段階で完璧を目指さないことも大切です。

完璧なアイデアを目指さない

アイデアを磨くためには、最初から完璧を目指さず、できるだけ早く実行に移すことが大切です。従業員や競合が存在するなかでアイデアを実践しながら、改善していきましょう。
ビジネスアイデアが失敗に終わっても、その経験から学び改善して次のアイデアに活かすサイクルを繰り返すと、新規事業の成功につながります。また失敗を許容しつつ、成功までのプロセスについて中長期的な視点を持つと、実行のハードルを下げることができます。

BtoBサービスのビジネスアイデア3選

ここでは、BtoBサービスのビジネスアイデアについて、以下の3社の具体例を紹介します。
・マイクロソフト社
・軒先株式会社
・株式会社スマレジ
各社が提供するサービスや各社のビジネスアイデアを把握することで、アイデアの創出に役立ててください。

マイクロソフト社

Microsoftは、自社サービスを買い切り型から月額制のサブスクリプション「Microsoft 365」へと変更しました。サービスのサブスクリプション化により、顧客の継続的な自社ブランドの利用が期待できます。また、契約する顧客の数から利益をある程度把握することが可能になり、ビジネスの安定性も向上します。

軒先株式会社

軒先株式会社は、ポップアップストア運営をサポートする企業です。ポップアップストアとは、数日から数週間程度の比較的短い期間限定で開設されるショップのことを指します。同社はポップアップストアのサイトを通じて、手軽に店舗ビジネスやイベントを始めたい人と、空きスペースを有効活用したい店舗オーナーとの仲介をサポートしています。

株式会社スマレジ

株式会社スマレジは、クラウド型POSレジ「スマレジ」を開発しました。スマレジは基本的なレジ機能だけではなく、店頭とネットショップの在庫を一元化管理できる機能を提供しています。この一元化管理により、バラバラになっていた在庫情報を集約でき、在庫管理を効率化できました。

BtoCサービスのビジネスアイデア3選

BtoCサービスのビジネスアイデアについて、次に示す3社を元に具体例を紹介します。
・アップル社
・サウスウエスト航空
・株式会社イコールコンディション
各社が提供するビジネスアイデアについて解説するため、参考にしてください。

アップル社

Appleは、シーズ志向のビジネスアイデアが成功した典型的な事例です。シーズ志向とは、企業が自社の強みを活かして新しいビジネスを展開するアプローチです。アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、革新的な商品を作り出し、その商品を通じて消費者に新たなニーズを教示するという考え方を持っていました。
シーズ志向のアプローチにより、アップルは消費者がまだ認識していなかった潜在ニーズを掘り起こしました。アップル社はシーズ志向で開発された商品の市場投入により、潜在ニーズの顕在化に成功したといわれています。その結果、アップルは革新的な商品で市場をリードし続けることができ、絶大なるブランド力を築くことができました。

サウスウエスト航空

サウスウエスト航空は、LCC(ローコストキャリア)の草分け的存在として知られています。LCCとは、サービス内容を簡素にして、正規運賃が低価格に設定された航空サービスです。具体的には、無料サービスの廃止や有料化、機内設備の簡素化などが図られました。
その結果、手頃な価格で航空サービスを提供することができるようになり、多くの顧客に支持されるビジネスモデルを築くことに成功しました。サウスウエスト航空の成功は、その後のLCC業界のビジネスにも影響を与えています。

株式会社イコールコンディション

株式会社イコールコンディションは、インターネット販売専門の高級ベーカリーを運営する企業です。同社は低価格競争を避ける狙いで、1本(1.5斤)約2,600円という高級食パンをインターネットにて販売しています。
開業当初は苦戦を強いられましたが、徐々に顧客からの支持を得て売上を伸ばすことに成功しました。通常のベーカリーは地域ビジネスであり、購入する人が限られます。しかし同社の場合、インターネットによって全国の消費者をターゲットにしたことで、高額でも多くのファンを獲得できたと考えられます。
インターネットを活用したビジネスモデルによって、株式会社イコールコンディションは高級ベーカリーとして成功を収めました。

まとめ

今回は、既存サービスとの差別化を図るためのビジネスアイデアの生み出し方について解説しました。ビジネスアイデアを発見するための具体的な方法や成功させるためのポイント、成功事例を把握し、自社のビジネスアイデアの創出に役立ててください。
また、画期的なビジネスアイデアを発見するためには、さまざまな研究テーマや課題への見聞を広げることも大切です。弊社が運営する東南アジア6か国での超異分野学会ASEAN大会では、研究者や大企業、町工場、ベンチャーといった分野や業種の違いにとらわれず、一丸となって新たな研究テーマや課題に取り組んでいます。
新規事業創出やオープンイノベーションについてのお悩みは、ぜひ弊社にご相談ください。

この記事に関するお問い合わせはこちらから
この記事をブックマーク
この記事をシェア

登場人物をフォロー

著者